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2013年7月の記事

2013年7月 7日 (日)

橋下市長の従軍慰安婦発言を非難する日本の中華思想

 日本人は中華思想の解釈に途惑っている。韓国や中国が、なぜあの様に訳の分らない事を言い張り、言い続けるのか、理解に苦しんでいる。同様の発想は、日本人にもあり、それが発揮される場合もあると知れば、少し理解が進むと思う。理解しても同調する気にはならないだろうが。

 橋下市長の従軍慰安婦発言は、間違った事を言っているわけではないが、時と場所、言い方が問題、政治家の発言すべき事ではない、などの理由で非難されている。もっと直截的なものとして、欧米のマスコミにどの様に判断されるか、心配だという識者もいる。理由は何とでも付けられるが、これは純然たる中華思想の亜流に見える。

欧米先進国の価値観にも色々ある。歴史的にも変化してきている。色々言い分はあるが、究極的な課題は現在の秩序にある。

 現在の世界は、欧米的価値観が普及し、先進国では更に高度化する過程にあると、多くの人は認識している。その価値観には疑念もある。しかし問題を内包しているとしても、相対的には現状最も優れた、社会秩序を維持するシステムを作り出す思想体系であり、先進国が支持する思考方法の根源である。これを進んで学ぼうとする人にとって、この思考方法を非難する論調は、雑音であり、時に不快な邪魔者になる。

 不快な邪魔者が、時に事実や真実である場合、最も憎悪する対象になる。橋下市長の従軍慰安婦発言は、欧米文化に対する挑戦の様に見えることになる。蟻の一穴も望まない人にとっての、非難や攻撃の対象になるのは当然だが、多くの一般人は、もう少し感覚的に捉える。欧米人は過去の人種差別や、植民地での不当な搾取を、現在は反省している。口に出してそれを言えば、補償問題の嵐に遭遇するから、黙っているが、日頃の言動でそれは分る。今更歴史を蒸し返して、それを非難する事は不毛だと感じている。一部の人が、それでは日本人が余りに貶められていると主張しても、大人はそういう行動は取らないと考える。これは欧米的思考や文化を、支持しているからだ。過去の日本文化が、この欧米的な文化より優れているとは考えにくいと思っている。それが事実であるかどうかは、教育の分野の問題になる。少なくとも科学技術の世界では、優位は圧倒的である。

 中国という地域は、3千年の歴史の中で、多民族の暴力的対立を、どの様に治めるかが、最大の関心事だった。多くの思索が、平和のために費やされてきた。上記の感覚が理論化され、精緻化され、生活感覚の世界を支配していたのが、中華思想だと考えれば、彼らの言動も理解しやすい。

 日本は敗戦国という最下位のランク付けの国だと、一旦認定されれば、王朝体制が崩壊するまで、その秩序は変わらない。秩序はすべての待遇に及ぶ。上位にある国は、この秩序を守りたがるが、それを正義だと断定してしまうのが、中華思想なのだ。だから、体制が変わるときには、大混乱の流血が起こるが、皆がそれを避けようとすれば、秩序の安定は維持される。

先進的欧米が支配する世界秩序の中で、現在領土問題は、絶対に手を付けてはならない分野に属する。欧米は民族主義者だから、必ず領土的国境が存在する。これの議論を欧米的に始めたら、世界は動乱の渦の中に放り込まれる。欧米的には領土は重要な認識の一部になる。

中華世界では、中国という、山岳と砂漠と寒冷地で囲まれた、閉ざされた世界の事象を扱うから、中華世界が強力な権力で統合されている状況が、最善であり、中華の力の限界まで、即ち地理的限界まで、中華世界を広げる事が、最善の統治になる。国民もそれを支持する。そこには、地域的な国境はない。中華思想は国境がない代わりに、序列という秩序がある。多民族を統治するから、民族的序列が必要になる。序列が上位であるか、下位であるかは、最重要なポジションになる。一旦これが決まると、欧米的国境の様に、それを議論する事は、中華世界を揺るがす混乱の渦に身を投じることになる。

現在の中国人や韓国人は、この思想から脱却できていない。だから、最下等の敗戦国日本が、戦後秩序を揺るがす様な発言をすることそのものが、悪だということになる。内容の問題ではない。その悪を知らしめるために、意地悪や嫌がらせをするのは、正しい行いになる。これは多くの日本人が現在でも行なっている行為だ。この範疇に入るいじめもあるだろう。

現在、欧米思想はもてはやされているが、中華思想はだれも理解しようは思わない。発展を阻害し、文明の進化を妨げる思想だからだ。しかし世界の人々は皆、いずれかの民族文化の影響下にある。民族文化を捨てて欧米思想に一本化すれば良いと考える人は、共産主義者しかいない。それは既に失敗している。人には情感や情動があり、それを律する事が出来るのは、伝統に根差した民族文化でしかない。欧米の民族文化人になるには、欧米人の家庭で教育されなければならない。言葉を話し、その国小説を理解できる程度では、創造性のある人間にはなれない。

その意味で、あの膨大な中国人が、中華思想を捨てる日を待つしかない。

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