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2013年5月の記事

2013年5月23日 (木)

中華思想に基づいて日本を非難する韓国

日本を非難する理不尽さに驚きの連続の日本人は、彼らの不確かな根拠に基づく発言を異常だと感じる。しかし中華思想にとって個別の真実の探求は重要な問題ではない。重要なのは日本が敗戦国であって、現在の国際秩序はそれを織り込んで維持されているという認識であり、国際秩序は現状認識を守ることによって維持されるという基本的発想である。日本が周辺国に謝罪し続けることで極東の安定が得られているという、韓国にとって喜ばしい秩序を維持する事は、中華的正義になる。この考え方の人に、真実の歴史を訴えても意味が無い。正しい歴史観と彼らが言うのは、日本は敗戦国である事を自覚せよという事なのだから、真実を訴えて彼らに逆らうのは、逆効果になる。それを受けた韓国が、現状の国際秩序を守る義務を果たせと要求する事で、正義の国になる。

大陸は暴力的行動が支配しやすい場だから、秩序を維持する事が最優先課題であり、秩序が乱れる事は諸民族の利益に反する。中華思想はこれを重視する。李朝が清国に屈辱的な礼を何百年も続けてきたのも、この思想が根底にある。大東亜戦争に敗北した日本も、現下の国際秩序が維持され続ける限り、同様の屈辱外交を継続する義務があると中華思想は強制する。中華的「正しい歴史認識」とはこの様な状況を意味する。

一部の日本人がこれを誤解し、周辺国の恨みを解くためとか、日本人は過去に過ちを犯したからその反省をする義務があるとか、情緒的な発言をしているが、これは情緒的な日本民族が居住する国内向けの事で、国際的な認識は、日本の敗戦を前提とする国際秩序を維持するためには、日本が敗戦国としての行動をとり続けるべきだという秩序観に過ぎない。中華思想を持たない国は、「もう好い加減そのくらいで良いだろう。未来志向でいこう。」と、ある時期から言い出すが、中華思想の国は決してその様な事は言わない。常識が違うからだ。日本のマスコミも中華思想に共鳴しているから、事実誤認と分かっても訂正報道はしない。国際秩序の混乱を恐れ、西欧的正義感を持たない状況は、中華思想に共鳴しているのと変わらない。

民主主義はキリスト教を基本に作られているから、悔い改める者は許されるという思想を持つ。これは民主主義とは直接関係ないが、機会均等、敗者復活、自由競争という、現在民主主義と不可分と考えられる思想と一体となって民主主義であると捉えられているから、その意味で中華思想は非民主主義的である。民主主義者は、民主主義こそ最も有効に社会的・経済的進化を促すものだと確信し、それ故に優れた主張だとして世界に拡散しようとしているから、中華的秩序観は民主主義と対立する。

しかし思想には都合の良い例外がある。国境の維持に関して、民主主義国は現状維持を堅持している。これは嘗て自分達が主導して決めた国境だから、国境線を変更する事は欧米の秩序に挑戦する行為になるからだが、一見極端な中華的原理主義に見える。但し、根本思想が違うから、誰も中華的だとは言わない。

中国は機会があれば国境を膨張させようとしている。これは2千年以上の歴史を持つ例外なのだ。国境が中華の中心から遠ざかるほど、中華秩序は安定するから、根本が安定志向である中華思想にとって、これは根本問題の解決であり、秩序維持は手段と言う次元の低い思想だから、本質的に矛盾しない。周辺国から見れば大国主義のエゴイズム以外の何者でもないが、国家主義というものは、元々民族のエゴの保持が目的なのだから、問題視するにはあたらない。こんな世界の中で、平和憲法を維持すれば日本の安全保障が担保されると考える事に無理がある。

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2013年5月 1日 (水)

観念的な戦略で動く米中

 米中両国は極めてイデオロギー的な国家と考える必要がある。イデオロギーは頭だけで考えて結論を出した産物で、情感とは異質な結論を出す。中国は中華思想というイデオロギーで行動している。中華の辞書には国際協調という言葉がなく、国際関係は力によって支配されるという発想しかない。これは中国3千年の歴史そのものだから、容易に変わらない。中国では帝国主義権力が全土を統治するか、天下が乱れているかのいずれしかなかったからだ。日本も中華思想の影響から列島の統一は安定をもたらすと、頭で考える人が多いが、奈良時代と明治維新後を除けば、実態は藩などの地方政権を主軸とする分権制が主体だった。中央集権制は安全保障上では有利だが、統治機構として効率的ではないことを実感していた人達が多かったからだろう。地方の実態を無視する画一的な統治なのだから。

 中国では安全保障が総てに優先する殺伐とした大陸社会の実態に即した制度を支える中華思想が発展した。これは土俗的なコンセンサスだから文献に銘記されているわけではない。中華の安全のためには辺境は極力遠方にあることが望ましい。それは政権自体の利害と一致し、強固な思想となって今日まで伝承されてきた。中華帝国に力があれば、周辺を侵略・征服して国境を拡張することは国家的正義になる。チベット・西域、尖閣や南シナ海の領土問題はこの文脈で読み解く必要がある。中国は伝統的に陸軍国家だったが、近年海洋戦略を重視しているのは海洋も重要な辺境だと認識を転換したからに他ならない。これは中国人の生活実感ではなく、あるべき国の形であるから、イデオロギーの範疇になる。西欧思想だけをイデオロギーと規定していては実態が見えない。中国が容易に共産国家を建設したのは、中華思想と共産主義思想が類似性の高いイデオロギーだからと思われる。共産主義も帝国主義、中央集権、武力侵略を肯定する。

 アメリカは合衆国だから中華的ではない。安全保障を連邦政府に任せ、民治は各州に委ねる制度は合理的だ。しかしアメリカには歴史が無いという致命的欠陥がある。歴史は民衆のコンセンサスの履歴で、民衆の価値観共有のバロメーターだが、これがない状況で高度の統治を実現しようとすれば、土俗的情感に依存しない方向を求めるしかなく、イデオロギーに走りやすい。民主主義を守る世界の警察国家を任じているのも、一種のイデオロギー活動と言えるだろう。イデオロギーの怖さは暴走に歯止めがかかりにくいことで、これはソ連・中国・カンボジアで実験済みの事である。これに歯止めをかけるのは情感であり、情感は極めて土俗的な存在である。従って、米国民に土俗的感情である信義や正義感を望んでも裏切られる可能性が高い。イデオロギー国家にもその国民にもその様なものは希薄であると考える必要がある。アメリカ人がキリスト教に敬虔な思いを馳せる事に批判的な人が多い。彼らの信じるキリスト教が未だに進化論を否定し、神が天地を創造したと信じているからだが、彼らがそこに土俗的情感を依拠し続けている事を考えれば、彼らの活動はもっと肯定的に判断する見解はあり得る様に見える。しかし米国全体を見れば、多民族を統合する思想はやはりイデオロギー的にならざるを得ないだろう。

 イデオロギーに支配される国は極めてドライで功利的になる傾向があることは止むを得ない事になる。

 アメリカが国力を減じ、中国と取引する日が来るのは時間の問題かもしれない。昨今の中国の異質なイデオロギーに危機感を持ち、隠然とした経済制裁に走りつつある米国だが、それが成功する保証は無い。米国ではその先の戦略も検討されているだろう。中国にとって民主主義は受け入れ不可能なイデオロギーだと認めつつあり、中国と取引する場面を想定する段階にあると推測される。中間線を何処に引くかはその時の情勢次第だが、日本も韓国も中国側に置かれる可能性が高い。現代の科学技術を使えば、海洋は既に自然の障壁とは言えないから、日本に中国軍が侵攻する事もあり得る。その時日本はどの様に対応するか、今から考えておく必要があるだろう。米国は将来の中国との円滑な取引の条件として、日本を非武装状態に留めておきたいと考えている。それが今後の中国との関係維持に重要な要件になるからだ。中国は米国がその政策を維持していれば、当面は目立った敵対行為はしないだろう。将来の交渉のテーブルでの議題を双方が想定しているからだ。日本が重武装していると交渉は全く違ったものになるから、双方がその状態を避けようとしている。その日が来た時、日本から見れば、アメリカは日本を中国に売ったことになる。アメリカからすればそれは世界秩序の安定のための選択として自国民を納得させることになる。

中国の州になるか、李氏朝鮮の様な朝貢国になるかはその時の情勢に依存する。韓国は既にその覚悟を決めている様に振舞い始めた。長年の歴史が韓国民の行動を自律的に決めている様に見える。韓国は今後中国以上に日本に対して敵対的になるだろう。中国もそれを見越して日本に強圧的になり、更に韓国を抱き込もうとする。日本の左翼・リベラリストもその同類だろうか。日本国民である事より個人である事を優先すれば、率先して親中韓的になることは功利的判断かもしれない。

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